サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路

山行日:2017年9月5日~10月3日

参加人数:男性2名 女性1名

ルート:

コース:

9月5日に成田を出発7日から2日間の休足日を挟み28日まで約450kmを歩き続けました。
7日 マドリッド~レオン(新幹線移動)
8日 レオン~サン・マルティン・カミーノ       27.7km
9日 サン・マルティン~ノームリアス・デ・レチバルド 27.4km
10日 ムリアス・デ・レチバルド~エル・アセボ     32.7km
11日 エル・アセボ~ポンフェラーダ          16.4km
12日 ポンフェラーダ~カカペロス           15.5km
13日 カカペロス~ベガ・デ・バルカルセ        25.3km
14日 ベガ・デ・バルカルセ~フォンフリア       24.2km
15日 フォンフリア~トリアカステーラ         8.7km
16日 トリアカステーラ~サリア            21.3km
17日 サリア~ポルトマリン              21.6km
18日 ポルトマリン~パラス・デ・レイ         24.1km
19日 パラス・デ・レイ~アルスーア          28.7km
20日 アルスーア~ラコバージャ            28.8km
21日 ラコパージャ~サンティエゴ・デ・コンポステーラ 10.0km
22・23日 ア・コールニャ… ホテル(泊)        休足日
24日 ア・コールニャ(バス移動)サンティアゴ~ネグレイラ 22.0km
25日 ネグレイラ~オルベイロア            33.0km
26日 オルベイロア~フィステーラ           32.0km
27日 フィステーラ~スペイン最先端岬~ムシア   35.0km
28日 カミーノ最終地ムシア             散策4時間
29・30日 ムシア~(バス移動)サンティアゴ(泊)~マドリッド(新幹線)
10月1・2日 マドリッド観光
3日  帰国

報告:

中世の時代には、巡礼の道としてキリスト教徒が命を懸けて歩いたカミーノ(巡礼路)も、現代は、八割位の人達が私達と同じく心と身体の健康を願う冒険チャレンジャーでした。
聖ヤコブ生誕2000年祭を機に、ヨーロッパを中心に世界各国の人達が、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指したカミーノ歩きに魅了されています。
17コースの中で一番人気の「フランス人の道」を歩きました。日本の「熊野古道」と同じく「道」の世界遺産として登録され、姉妹都市にもなっています。
海外の人達にも「熊野古道」「四国八十八ヶ所巡礼」への関心は高かったです。

「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」との出合いは、カミーノの映画「星の旅人たち」でした。最愛の息子をカミーノの途中で亡くした父親が、足跡を辿り息子が果たせなかった最終地ムシアまで完歩を果たし、息子の希望通りにムシアの海へ散骨するストーリーです。
憧れの「歩く旅」は、カミーノ6回のベテラン経験者からお誘い頂き実現する事が出来ました。計画書は歩けるかどうか想像を超すスケジュールで不安はありました。
9月のスペインは、比較的、天候が安定しており、雨に降られた日は2日間の午前中と幸運でした。この時期の夜明けは遅く、朝8時出発はヘッドランプが必要、お天気に恵まれた為か日中は汗ばむ位でした。

カミーノ歩きは、聖ヤコブがホタテ貝に守られた事に由来して、ホタテ貝の道標を目印に歩きます。北スペインの田舎町を歩くカミーノの宿泊先は、アルベルゲと呼ばれる巡礼宿があり公営(5~6ユーロ)最大収容数400人、民営(10~12ユーロ)を利用します。公営は概ね町の奥まった教会に隣接している場合が多く、ベッドとシャワー付き、食事はキッチンと近隣にスーパーがあれば自炊可能、他はレストラン使用となり、メニューには巡礼食(10ユーロ)も提供されています。
アルベルゲへの入館時は、パスポート提示が要求されシーツ、枕カバーが手渡されます。荷物はザックで背負うので最小限、着替えは手洗や洗濯機(乾燥機付きで6~8ユーロ)でマメに行う様になります。
点在するカフェで休憩を取りますが、全く無いエリアも多々有り出発から13km地点のカフェに喜んだ日、田舎のスーパーは日曜日が安息日で休みに合致する時もあり、日本のコンビニや自販機の利便さを忘れなければいけません。
スペインは水道水が飲めるのは有難いのです、が生ビール(1.5ユーロ)ワイン(1.5ユーロ)とアクアやコーラより安く、外れなく美味しく、生オレンジジュースも日本には無いフレッシュさで良く利用しました。

スペインの国土は日本の1.3倍、人口は40%ゆったりとした印象のお国柄で、特に巡礼者への配慮には歴史があり車も優先的に道を譲り、行き交う地元の方々からも「Hola(オラ)」「Buen Camino(ブエン カミーノ)」と声援が掛り、それは世界の巡礼者仲間の共通語としてカフェやアルベルゲでも交わされました。
レオン州からガレシア州を歩きましたが、レオン州は広大な牧草地の印象、店舗も少なく、果物や飲物が用意され自己申告で支払う施設も日本の「お接待」を連想しました。
ガレシア州は日本の東北のイメージ、果てしなく広がるぶどう畑や樹木も豊富、カミーノには誰も拾わない栗が散乱、並木道のりんごの樹からりんごを頬張ったりする事もありました。
カミーノには難所と呼ばれる山越えが2ヶ所あり、長距離ですが山の経験者で体調が良ければ問題はありません。

カミーノではポイントで巡礼手帳にスタンプを押して歩き進みます。
サンティアゴ・デ・コンポステーラとフィステーラの2ヶ所で、スタンプラリーの如く押したクレデンシャル(巡礼手帳)を提示し確認後に巡礼完歩証明書が発行されて、歩く旅の最大の記念品となります。
巡礼手帳のチェックは結構厳しく、大勢の人の順番待ちは1時間半程の行列をして、巡礼完歩証明書を手にしました。
コンポステーラ迄あと100km地点のサリンから歩いても、完歩証明書は発行されますので、サリンからは一気に巡礼者の数は増え、軽装やザック無しの人達の軽快な笑い声も聞こえました。
歩く旅の魅力は夫々ですが目的、目標が明確である事、巡礼完歩証明書という達成感へのご褒美の自己満足がある事でしょう。

スペインの食べ物、飲物の美味しさ、景色の美しさ、異文化体験の醍醐味などの魅力は、カミーノの嘗ての廃村が復活する程の活気や潤いを北スペイン地方へもたらし、スペインの歴史ある大切な観光資源だと実感しました。
荷物が肩に食込み、夢の中でも歩き続け、アルベルゲに憂慮の毎日でしたが、辛さや苦しみは既に忘れ楽しい充実感だけの思い出が残りました。
カミーノで世界各国の人達との出合いと別れを繰返し、大勢の人達からパワーを頂きましたが、今回でカミーノは4回目、8回目と目を輝かせていた人達の気持ちが充分に分かりました。