クリアドベンチャース雪山登山講習
山行日:2022年2月19,20日
参加人数:男性1名 女性1名
報告:
クリアドベンチャースが主催する1泊2日の冬山登山講習に参加してきた。参加者は10名、雪山の基礎的な講習が主だったが、復習も含めて学ぶことも多く充実した二日間であった。
<1日目>
〇装備装着確認。
講習場所となるゲレンデに到着後、ワカン装着のレクチャーが始まる。正直、今更???と思ったが、私も含めて完璧に出来でいる人はいなかった。
ワカンも微妙な調整が必要で、その調整をすることに外れにくくなるとのことであった。
〇雪上歩行訓練。
ワカンを履いたままピッケルを持っての緩斜面、急斜面の歩き方が始まる。講師の話は大変わかりやすい。
足の入れ替えであるが、入れ替えない歩き方では残った谷足でのバランス保持が崩れやすく、滑りやすくなる。そのため山足を残して谷足をクロスさせるほうが安定するとのこと。
ピッケルの持ち方も思っていたのは違ってピックを後ろにした持ち方が標準で、急斜面でダガーポジションを取るのでなければピックは後とのことであった、理由として緩斜面での転倒はめったにないからとのこと。実際ピックが後ろのほうが持ちやすい、
〇雪上野営訓練。
雪洞、ツエルト、テントから選べるが、参加者は皆雪洞泊ということで、ある程度の作り方を学び、それぞれ好きな場所に移動し雪を掘り始める。少しでも快適に眠れるように妥協しないでひたすら奥に掘っては雪を掻きだす作業を1時間強、汗だくになりながらで完成。二人ともなかなかの雪洞が出来上がった。
実際に居住してみて感じたのは、出入りするための方向転換を考えて空間を作らないと、ザックの物を取りだすにも苦労するということ。また水平にすることも重要で、傾くと敷いたシートも含めてすべてが滑って行って快適性が損なわれるということ。
温度的には寒いということもなく安心して眠ることができた。
<2日目>
〇装備装着確認。
アイゼンのつけ方の講義。ワカン同様完璧に付けている人はおらず、何度もやり直しをさせられる人もいた。私に至ってはベルト式のアイゼンだったため「話にならない」と一蹴されてしまった。
ワンタッチ、セミワンタッチ式の取り付けかたは思っていたよりもきつく止めるということが重要であった。ソールとの隙間がない事、レバーはきつめに調整することこのあたりができていない人が自分も含めて多かった。人気のグリベルのアイゼンは、調整が0.5cm刻みで靴によっては最適な調整がしづらい事も数人が指摘されていた。
〇滑落停止技術。
まずは初動停止訓練。足から滑り落ちた時と前から転んで滑り落ちた時の停止方法を繰り返し行う。その後は滑落を想定した訓練、ソリに乗って勢いをつけて滑りそこから体勢を変えて停止させるもので、速度感もあり、かなり怖かった。
滑落停止は初動動作が肝心であり、ここは何回でも練習すべきとのこと。実際にやってみるとスピードがついてからの滑落停止は基本姿勢もままならず、衝撃も大きく時にはピッケルが飛ばされることもあった。
初動での停止で必要なことは、通常時の転び方同様手のひらをついて転倒すること。この際にピッケルは親指人差し指の二本で掴んでの雪面への突きであるがピッケルが離れやすいと思った。
〇雪崩埋没捜索。
ビーコンは今やBCだけでなく冬山を歩く登山者にも普及しつつある(願望)。ビーコンを使い、雪崩に巻き込まれた人を捜索する訓練を行う。雪崩に巻き込まれたら15分以内が生死を分ける、いかに的確に埋没箇所を見つけ救出できるかがキーとなる。
その後はプローブを使い実際に埋没した人を救助する訓練。
ココヘリとビーコンは似て非なるもので用途が違うとのこと、ココヘリは広範囲からの捜索が可能であるが、特定できる範囲も広く雪の下に埋没した人を確定するには時間がかかる。ビーコンは電波の届く範囲が狭く遠距離からの捜索は不可能であるが数十センチまでの特定が可能とのこと。
個人的な感想だが、ココヘリもヘリコプターと連携した捜索があるからこそ威力を発揮すするのであって、機器単独(イマココ)だけでは結局捜索は地上から会のメンバーが行うしかなく意味がないように思えた。会でのココヘリ加入も考慮すべきではないかと思った。また会装備としてのビーコン購入も考慮するのもいいのではないかと思った。
〇その他
泊まりのある講習会で温かい食事と入浴ができるのは実にありがたかった。
講師の栗山氏は、とても温厚な方で指導もわかりやすかったが実際の内容はハードであった。またガイドとインストラクターの違いは、案内係と講師との違いということで、上級インストラクターの資格を持つ栗山氏はインストラクターを養成する講座も持っている。登山案内ではなく個人がスキルを上げて自主的な登山ができるようにすることが目的とのこと。